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コンテンツの作成と配布

“コンテンツ”とは

ここで言う“コンテンツ”とは、MSXを利用した現存するすべての資産を指します。メーカーが発売していた“市販ソフト”も、MSXサークルが自主販売していた“同人ソフト”も、誰にも見せずに個人で密かに作っていたソフトウェアも、基本的には同義です。

MSXは過去17年の間にウン千本ものソフトウェアが発表されました。特に携帯端末用のコンテンツとしてMSXが注目を浴びることができるのは、この“資産”を携帯端末で利用するには都合が良い内容だからなのです。

新規のハードウェアはコンテンツの提供が叫ばれていますし、携帯電話ではコンテンツの情報量をできるだけコンパクトにしたい状況です。MSXが過去17年間に蓄えてきた豊富な“資産”を、新しいプラットフォームで活用するには今が絶好の機会です。

現在、アスキーとMSXユーザー会は、ソフトメーカーや出版社などMSX用コンテンツを保有する数社と版権・頒布権の交渉段階にあります。交渉がまとまれば、MSX用のコンテンツはアスキー(やMSXユーザー会)を通じて幅広く流通されるはずです。

市販ソフトについても、基本的には“無償のコンテンツ”としてMSXユーザーへ流通するよう交渉を進めてゆきます(現在ではほとんど売上に貢献していないのですから)。ですが、コンテンツホルダーとしては少しでも稼いでおきたいでしょうから、市販ソフトは“有償のコンテンツ”として“再流通”するかもしれませんし、コンテンツに暗号化を施すことも考えられます。


コンテンツの利用環境

アスキーが公式MSXエミュレータをリリースすることで、今後は多くのハードウェアと多くのプラットフォームでMSX用のソフト(=コンテンツ)が動作するでしょう。また、公式MSXエミュレータの技術を多方面に応用して、エミュレータ以外の方法でコンテンツを利用できる方法がそのうち見つかるかもしれません。

MSX用のコンテンツを利用できる(かもしれない)プラットフォームを挙げると、現在はこのようなものが考えられます。

公式MSXエミュレータに対応するMSX用のコンテンツを自由に流通できるようにするために、今後主流になるであろう流通手段は、このようなものが考えられます。

公式MSXエミュレータや、今後登場するかもしれない新MSXを新しい流通手段に対応するのは簡単です。流通手段や仕様を今から考えて作ることができるからです。しかし、現存するMSX実機でのコンテンツ利用を考え出すと大変です。

MSX(1)規格のパソコンは既に17年もの昔に世界中で発売され、トータル400万台を出荷しました。日本のみならず、ワールドワイドな視点で流通手段を考える必要があります。また、MSX実機の単体ではネットワーク機能がありませんし、CD-ROMドライブも搭載されませんでしたので、コンテンツの流通に困難を強いられることは確実です。

MSX用コンテンツの復刻作業には、実はMSX実機の存在が一番やっかいな問題になっています。しかし、現存するMSX実機の存在を無視するわけにはいきません。MSX実機と公式MSXエミュレータの両方で共通に利用できるコンテンツの配布環境を考えてゆきましょう。


コンテンツの配布仕様

BASICプログラム一つを実行するのであれば話は簡単ですが、画像データや音声データなど、複数のファイルを併用するようなコンテンツの場合はどうしましょう。バラで配布すれば入手する手間が増えてしまいますし、ファイルが足りなければエラーで止まってしまう…コンテンツを利用するユーザーに負担をかけない配布手段が必要になります。

これを回避するため、複数のファイルをディスクイメージ化で1ファイルにし、一つのコンテンツに対して1ファイルのダウンロードで入手できる方法が得策と考えました。さらにカセットテープ・ROM・QD(QuickDisk)など、過去に登場した多くのメディアへの対応と、将来的な設計を想定すると、コンテンツ配布用の新しいフォーマットが必要です。

気をつけたいこと

配布用フォーマット・案

配布用イメージファイルの特徴は以下の通りです。


配布方法

前述の繰り返しになりますが、今後主流になるであろう流通手段は、このようなものが考えられます。

  1. 雑誌に付属するCD-ROM・フロッピーディスクからコンテンツを取り出す
  2. 雑誌に掲載するプログラムリストを入力する
  3. インターネットで入手・配信する
  4. その他

雑誌に付属するCD-ROM・フロッピー

アスキーは出版社でもありますので、アスキーが発行するパソコン雑誌の付属CD-ROMへMSX公式エミュレータやMSX用コンテンツを収録するのは極めて簡単です。また、海外では現地の大手出版社と契約し、付属のCD-ROMへMSX公式エミュレータやMSX用コンテンツを収録する計画があるようです。

問題は、MSX実機ではCD-ROMが利用できないことです。PCとMSXを併用しているユーザーならまだ救いがありますが、実機のみではどうしようもありません。

インターネットでの配信

現在、アスキーはMSXコンテンツ専用のインターネットサーバを構築中です。公式MSXエミュレータを機に過去および最新のコンテンツ(=新作ソフト)を、無償(または格安)で、アスキー(やMSXユーザー会)が配信することが可能であれば、全世界のMSXユーザーを対象にしたコンテンツの流通手段が完成します。

アスキーが運営するサーバで配信するコンテンツは、市販のものに限らず、プロ・アマ問わず自由に登録できるようにします。コンテンツの無償・有償の設定も制作側で設定し、有償コンテンツはユーザーがダウンロードする毎にユーザーへ課金します。課金業務はアスキー(というかWeb Money?)が代行します。


コンテンツの利用方法

なんらかの方法でコンテンツを入手したら、いよいよ利用したくなります。配布用のイメージファイルは、どのようにして公式MSXエミュレータや実機で利用するのでしょうか?

公式MSXエミュレータ・新MSX?の場合

イメージファイルをMSX実機や公式MSXエミュレータで認識させ、動作させます。

携帯電話などでMSX用のコンテンツを共通に利用するため、メモリーカードの採用を検討しています。カードは「コンパクトフラッシュ」形式、Panasonicの「SDメモリーカード」形式が候補に上がっています。( 携帯電話 を参照)

メモリーカードの全部または一部は著作権保護の暗号化を含む、専用のファイルシステムにします。よって、Windows機などのPCカードスロットからメモリーカードへアクセスした場合、MS-DOSのファイルシステムとして正常に見えるようにするかは結論が出ていません。

現状のMSX実機の場合

コンテンツには暗号化の情報を含むため、現状のMSX実機では配布用のイメージファイルを利用できませんし、作成することもできません。また、メモリーカードへアクセスできるハードウェア自体が存在しないため、メモリーカードスロットを搭載した専用カートリッジの開発を検討しています。(昔にハドソンがリリースしていた“BEE CARD”のようなものを想定してください)

このカートリッジは、メモリーカードスロットと内蔵ソフトで構成します。内蔵ソフトで実機のフロッピーとメモリーカード間のファイル転送を行ったり、メモリーカード内のコンテンツを起動します。また、コンテンツの自動起動機能を設定してメモリーカードへ保存、電源を入れると自動的にコンテンツが起動する“ROMカートリッジ”のような利用法も検討しています。

ちなみに、専用カートリッジでコンパクトフラッシュ形式を採用する機運が高まっている理由の一つとして、このスロットにNTTドコモの「P-in Compact」などを接続し、実機のみでネットからコンテンツを入手できる手段を用意すべきとの意見があります。が、携帯電話にコンパクトフラッシュ形式のスロットを搭載するにはカードの面積が大きすぎるという物理的な問題もあり、流動的です。


コンテンツの作成方法

コンテンツをMSXユーザー側で作成する方法です。

自作プログラム

ディスクメディアで保存されているコンテンツは、イメージ化できます。

テープメディア・ROMメディアで保存されているものは、検討中です。

市販されたコンテンツの再利用

過去に市販されてユーザーが所有しているソフトウェアは、(基本的には)イメージ化できません。ROMソフトはPCに接続できませんし、市販ソフトを公式MSXエミュレータで動作できてしまうと“再販された有償コンテンツ”と“ユーザーが制作したコンテンツ”との見分けがつかなくなります。

※ とは言え、フロッピーメディアに関してはドライブにディスクを挿入して起動できようにしなければならないとは思います。

非合法なコンテンツ

現在インターネットで流通している非合法なROMおよびディスクのイメージファイルは(基本的には)イメージ化できません。また、公式MSXエミュレータで実行できるイメージファイルはそれ以外のエミュレータでは実行できません。これは、非合法のコンテンツが公式MSXエミュレータで実行できてしまう環境では、アスキーとソフトウェア会社(および個人)とで、版権管理など諸事情を解消する契約が結べないからです。

※ 非合法のコンテンツは公式MSXエミュレータ以外のもので自己責任をもって利用してください。(^^;


議論しましょう

以上のプランは決定事項ではありません。「叩き台」としてMSXユーザーの間で大いに議論しましょう。そしてアスキーが提唱することで、公式MSXエミュレータとMSX実機での両方に対応するコンテンツの流通手段を作り上げてゆきましょう。


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